
ステロイド スキンケア アレルゲン対策。この3つだけが治療と思っていると、これから先は「茨の道」を歩むかもしれない。
アトピー治療の柱
90年代のステロイド混乱期を経て、現在のアトピー治療は患者と医者の双方に諦めムード が漂っている気もします。
マスコミによるステロイドバッシングは減りました。
一方、医療現場では統一的な治療方針が確立されたとは言い切れない感じがします。 ステロイドの使用に関しては医者の間でもまだまだ温度差があるし、プロトピックや食物 アレルギーの認識だって同じ。
小児科では、相変わらず過剰な「除去食物療法」を行われている現実もあります。
そんな状況の中、日本にはアトピー性皮膚炎に対する標準的な考え方・治療法を指導方針として示したガイドラインがあるのをご存知ですか?
「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」です。
で、内容的には「薬物療法」「スキンケア」 「悪化因子の検索と対策」が治療の柱になっています。
ところで、この「柱」の具体的な中身は何でしょう?
私流に解釈すると、「ステロイドで炎症を抑え」「保湿で皮膚のバリアを補い」 「ダニ対策には小まめにお部屋の掃除」ですが、皆さん如何でしょう?
免疫疾患だから免疫系からのアプローチ?
アトピー性皮膚炎は「免疫疾患」と言われます。
その通りですね。これに異を唱える人はいないでしょう。
免疫疾患だから、免疫抑制剤のステロイド。
免疫疾患だから、スキンケアで皮膚のバリア強化。
免疫疾患だから、小まめな掃除でアレルゲン除去。
と、流れは必然的にこうなるのでしょうね。
でも、私がもしアトピー患者なら、もう免疫系からのアプローチはしない。
何故か?
これだけだと、不十分からです。
消化器系からのアプローチ
一方、90年代末、日本皮膚科学会では貴重な報告がされています。
その報告はアトピー患者の腸の粘膜では好酸球が増え、 皮膚と同じタイプの炎症を起きていると言う趣旨の発表ですが、私達の祖先は体験的にこのことを知っていて、昔から消化器官と皮膚の関係は注目されていました。
いまさら、ガイドラインに文句を言うつもりはありません。
炎症にはステロイドが効果的で、皮膚のバリアには保湿が必要なことも確かですから。 それにアレルゲンの除去だって有効な時もある。
でもこれだけに目を奪われていると、大切なことを見失ってしまう気がします。
皮膚のバリアは大切かもしれない。
でも、アトピーは症状が皮膚に出るからと言って、いつまでも皮膚だけに注目している場合でもない気がします。と言うか、これだけ長い間「皮膚のバリア」「皮膚のバリア」と 言い続けても治らないなら「他に要因は?」と考えるのが普通ではないでしょうか?
次は、その真相に迫ります。
アトピー克服の基本