
アトピーじゃない健康な人の肌にステロイドを塗り続けるとどうなるのだろう? そしてある日突然、そのステロイドを一気に止めるとどうなるのだろう?
副作用はどうすればいいのか?
「ステロイドの副作用ですね・・・」と言われたのは27歳の頃でした。
ステロイド皮膚症はステロイド外用薬の典型的な副作用ですが、私の場合、これが最初に
出たのは首。で、気付いた時にはもう色素が沈着していました。
ところで副作用が出た場合、どうすればいいのでしょう?
一番手っ取り早いのは投薬を中止することですね。
とりあえずステロイドを中止すれば、副作用は時間の経過とともに消えますから。
そう。致命傷で無い限り、投薬を中止すれば遅かれ早かれ副作用は消えます。でも投薬を中止すれば、当然、病状は悪化する可能性が高くなりますね。と言うか普通は悪化します。抗がん剤を止めれば副作用は消えますが、癌そのものは悪化するのと同じです。
健康な人にステロイドを塗ればどうなる?
ところで、こんな実験をすればどうでしょう?
アトピーと無縁な健康な人に毎日根気よくステロイドを塗り続けて頂くのです。
雨の日も風の日も、ひたすら同じ場所にステロイドを塗り続けて頂く。
そして、そろそろステロイドの副作用(ステロイド皮膚症)が出始めたかな? と思った頃を見計らってスパッ!と一気にステロイドを中止して頂く。
すると、この人はどうなるのでしょう?
信じ難いですが、実はこれと同じことが過去、日本では起きていたました。
昭和40年代後半から50年代頃まで、多くの女性がステロイド入りの化粧品を使用していたのです。ステロイドを下地に塗ると化粧のノリが良くなるという理由で。
ところが微量でも毎日ステロイドを顔に塗り続ける訳ですから当然1年、2年と経てば副作用は出ます。で、実際ステロイド皮膚症で顔が真っ赤になった。
当時、これは社会問題になりました。
で、結局、その後この事件はどうなったか?
結論から言うと、この事件はほどなく沈静化しました。 原因が判明した時点で、女性達がこの化粧品の使用を止めたからです。
先程の理屈通り、薬の投与を中止すれば副作用は時間の経過とともに消えます。
彼女達には元々アトピーが無いので、ステロイドを止めてもリバウンドは起きない。症状は一時的に悪化しますけど。(ココに注目!)で、画一的な過程を経て、彼女達の顔は元通り。
事件は一件落着です。
「離脱皮膚炎」
ところで、
彼女達の顔が元に戻るまで、どうして症状は一時的に悪化したのでしょう?
くどいようですが、彼女達は元々アトピーではないのでリバウンドは起こりません。
なのにどうして?
どうして症状は一時的に悪化したのでしょう?
ココ、大切なポイントなので、しっかり把握しておいた方がいいです。
つまり彼女達の症状が一時的に悪化したのはリバウンドのせいではなく、「離脱皮膚炎」と呼ばれるものだった。
これ、文字通りステロイドを離脱する際に生じる皮膚炎のことです。
ですから、彼女達はアトピーが悪化している訳ではなく離脱皮膚炎を起こしていた。
言い換えると、「離脱皮膚炎」は副作用が消えるためのプロセスなんですね。
これがアトピーじゃない人にステロイドを塗り続けた後、突然投薬を止めてもリバウンドは起きないカラクリです。時間の経過とともに副作用は消えて皮膚は元通り。
大事には至らない訳です。
アトピーの人が一気にステロイドを止めると?
ところで、アトピーの人が同じことを試みるとどうなるか?
もう、大変です。
何故ならアトピーの人が急にステロイドを抜くと離脱皮膚炎だけでなく、今までステロイドで抑えられていた症状が爆発的に悪化してしまうからです。
つまり「離脱皮膚炎」+「アトピーの爆発的な悪化」 で、ダブルパンチを食らうパターンが成立してしまう。
この点を理解しておかないと、アトピー治療は味噌も糞も一緒になります。
ステロイドの副作用が出ても、離脱皮膚炎だけなら時間の経過とともに消えます。
でもいったんアトピーが爆発的に悪化したら、そこは別世界。血と膿のまさに生き地獄です。
こうなると収集がつかなくなり、もはや仕事や勉強どころの話ではありません。 壊滅的な打撃を受けて休職や休学、最悪の場合、離職に追い込まれてしまう背景はこんな感じです。
こんなこととは露知らず、流れ出るリンパ液を見て「ステロイドの悪い毒が出ている」と耐えていた私。それはもう「悲劇」を通り越して「喜劇」です。
「ステロイドの悪い毒が出尽くしたら治る!」なんて、誰が最初に言い出したのでしょう?
さて、これで脱ステロイドがいかに危険な賭けかご理解頂けましたか?
そんなことしなくても、アトピーはもっともっとシンプルに治せる。
それがコレ。
自力で克服 忘れてしまった大切なこと