11 漢方薬の効果的な使い方

治し方

漢方薬は直接アトピーを治す目的ではなく、胃腸の健全化に特化する手段として使ってこそ活きる。消化器系の改善には漢方薬がベストマッチ。

病名漢方の限界

ステロイド外用薬と並行して、最近はアトピー治療に漢方薬を使う医師も増えました。

私自身、漢方薬を使った経験はありますが、症状が全く改善しないことから断念した経験があります。

では、漢方薬はアトピーには全く無力なのでしょうか?

結論から言えば、必ずしもそうとは限りません。

要は、「使い方次第」と私は思っています。実際、私は医療機関で処方された漢方薬ではなく、自分で試行錯誤した結果、絞り込んだ漢方薬でアトピーを使っていました。

例えば、

「消風散」「温泉飲」「当帰飲子」「十味敗毒湯」「黄連解毒湯」

これらはアトピー治療ではよく処方される漢方薬です。で、実際、私は全て服用した経験があるのですが、残念ながらアトピーが良くなることはありませんでした。いや私以外でも、これらの漢方薬でアトピーが治った例を私は知りません。

何故こんなことになるのでしょう?

正直なところ、私にもその理由はわかりません。

本来、漢方薬は患者の証(脈や舌の状態等)を診て処方するものですが、今、医療機関でそんな診察をされている医療機関はごく少数です。で、風邪なら葛根湯。花粉症には小青龍湯のように病名から漢方薬を選択している。これが現実です。

これは病名を特定してから漢方薬を選択するやり方で、「病名漢方」と呼ばれていますが、正直な話、私はこの方法ではアトピーを治せないと感じています。

このことは、上記の漢方薬に含まれている生薬からある程度察しがつきます。

つまりこれらの漢方薬の大半(全てではない)には身体の表面に停滞した熱を取る生薬が使われていて、この生薬の使われ方が私の使った漢方薬とは根本的に異なるのです。

効果的な漢方薬の使い方 


アトピーと言う病気は外側(医者・研究者側)から観察すると、身体の表面、つまり皮膚に熱感があるように映ります。事実、皮膚には炎症があり赤みを帯びているケースが大半です。

その結果、この皮膚の熱感を取るための漢方薬を選ぶのでしょうが、私の経験からすると、この時点でそっち系の漢方薬を選択したことがそもそも間違い。

何故なら、

アトピーを内側(患者側)からじっくりスキャンするように観察すると、その身体の表面にある熱感の根本的な原因が、身体の芯(内側)にある「冷え」にあることが判るからです。

私の経験からすると、漢方薬を使って直接アトピーを治そうとしてもうまくいきません。

事実、消風散や十味敗毒湯だけでアトピーが治せない現実は、上記の理由からも明らかでしょう。と言うか、そもそもアトピーの治療では皮膚を診て症状を改善させるやり方は効率が悪いです。

では、どうするか?

答え。まずは身体の芯にある「冷え」と取り除いて「便通」を良くする。

ココ、難しく考えないで下さい。「身体の冷えを取り除く」と「お腹の調整を整える」は基本的に同じ内容の努力で完結しますから。

で、この方面の努力、つまり消化器系の働きを整える手段として、漢方薬はすこぶる相性がいい。

つまりアトピーを治す効果的な漢方薬とは「消風散」のようなワンステップ型ではなく、まずはお腹の調子を整えることに特化した漢方薬、言い換えると、消化器系の改善を目的とした漢方薬だったのです。

お奨めの漢方薬3選


では、その漢方薬とは?

ここでは、私が実際に使っていた漢方薬の中から3つを紹介します。

最初は「六君子湯」

これは胃腸の機能低下、食欲不振、嘔吐の治療に使用されますが、私は「胃腸の健全化」の手段として一番多く活用しました。今でも会食の前に服用すると、少々食べ過ぎても翌朝がラクなので重宝しています。

次は「五苓散」

これはいわゆる「水毒」と言われる症状に使いました。水毒はお腹がポチャポチャ鳴ってオシッコの出が悪くなる症状(胃内停水)ですが、私は元々お腹がゆるい方で下痢気味の時に服用していました。

最後は「人参湯」

これは疲れが酷い時に使っていましたが、六君子湯との使い分けは主に季節的なもの。つまり六君子湯は季節に関係なく一年中。一方、こちらは夏場の「冷え対策」の一環として使用しました。その他、体がだるくて家の中で横にゴロゴロしていた時には「人参栄養湯」を。他にも「六味丸」「柴苓湯」「胃苓散」なんかも使っていました。

漢方薬を使用する際の注意点


最後に注意点を。

私の使っていた漢方薬を使っても「全然よくならないじゃないか!」のケース。あると思います。そこは最初に言っておきます。

次に、「漢方薬をどうして入手するのか?」ですが、これは医師に処方して頂くのが基本です。

医者から出た保険適応の処方箋を持参して薬局で購入。これが基本。これで日本の製薬メーカーの漢方薬が入手できます。一方、保険の効かない民間の漢方薬、ネット等で販売さえている製造元不明の海外製漢方薬、私は買ったこと無いのでコメントは控えます。

で、私の場合、地元で開業医をしている同級生に気軽に相談して処方箋を貰っていましたが、そんなパターンは稀でしょう。逆に医療機関でいきなり「漢方薬の○○○○処方して下さい」なんて言ったら、当然、「お引き取り下さい」の結末になると思います。

なので、

医師とのコンタクトがあまり無い場合には、多少高額にはなりますが、ドラッグストアーで直接入手する方法もまります。この場合、自分に合うと思う漢方薬を事前に調べる必要がありますが、その結果、調べた漢方薬が必ずドラッグストアにあるとは限らないので注意が必要です。

と言う感じで、漢方薬に関する話をしましたが、「漢方薬が無いと絶対アトピーは治せない!」なんて話でもないので、必死で自分に合った漢方薬を選定することばかりに時間を割かないで下さいね。

そんなことより、大切なのは日々の生活習慣の改善ですから。

そこは宜しくお願い致しますね。