1 連戦連敗の理由 

アプローチ

物事には原理原則があるように、アトピーを治すにも鉄則がある。私がアトピーに連戦連敗した理由も、この原理原則を知らなかったからだろう。

アトピーを治すのは誰?

「医者は病気を治すプロだから、言うことを聞いていればそのうち治るだろう・・・」

長い間、私は何の疑いもなく、そんな風に信じ込んでいました。早い話、「家を建てるのは大工の仕事、病気を治すのは医者の仕事」と言う論法です。

正直、自分が積極的に治療に関与するというスタンスでは無かった。

ところが軽度の場合ならともかく、重症化した成人型のアトピーにはこれが通用しない。 何故なら、アトピーは「自分で治す」病気だからです。

但し、誤解の無いように。

「自分で治す」と言うのは、医療機関を否定した表現ではありませんから。

例えば事故に遭ったとします。交通事故のように一刻を争う状況では、患者が自らできることなんて皆無ですね。 従って、治療はすべて医師や病院のスタッフに委ねることになる。「自分で治す」なんてできない。

またこのような状況では、医師の力量や医療設備の有無が患者を救うための大きな ウエイトを占める筈です。野戦病棟では救える命も救えないでしょうから。

でも、私が指摘している「自分で治す」と言う意味はこれとは違います。

つまりアトピーを治すには「医師の力量や医療設備の優劣より、患者自身が行う地道な 努力の方がはるかにウエイトが大きい」って話。

はっきり言って、アトピーを治すのに最先端の治療や医療設備は関係ない。

それより地味でも、手間隙惜しまず患者に地道な生活指導を行っている医療機関の 治癒率が高い点に注目した方が良い気がします。

アトピーを治すのはクスリ?

またアトピーは薬で治すような病気でもありません。

この事実を裏付ける話をしましょう。

ご存知プロトピック軟膏。

これはもともと臓器移植の際に患者が服用していた「タクロリムス」と言う免疫抑制剤を 0.1%に薄めて外用薬にしたものですが、1993年から症例を積み重ねて1999年に 厚生労働省の認可を得て販売に至っています。

このプロトピック軟膏。

実はアトピー患者にはあまり評判が良くありません。 理由はいろいろあると思います。でも私はそれなりに評価しています。だって「皮膚萎縮」や「赤ら顔」と呼ばれるステロイド特有の副作用は無いですから。

また長期投与に伴う副作用も報告されていない。

なので「アトピー治療に画期的な塗り薬」と言う評判もまんざら噂ではなかった。

でも・・・

プロトピックの発売以来、アトピー患者の数って激減しました?

そんなことないですよね。

確かに、治療の選択肢は増えた。 でも、それだけ。

つまりアトピーに画期的な新薬が開発されても、それだけでは根本的な解決策にはなっていない。

アレルギー疾患は患者数も多く利益が見込めることから、多くの企業や研究者がクスリの開発に取り組んでいます。 そしてこのこと自体はアトピー患者にとっても有難い話です。 治療の選択肢が広がるわけですから。

でも結局、アトピーを直接治せる薬は開発できない。

これって、風邪薬と同じですよね。

風邪を直接治せるクスリは開発できない。

なので結論から言うと、アトピーを本気で治すならクスリ頼みはダメなのですね。
クスリがダメなのではなく、それに依存する姿勢がダメと言う意味ですよ。(念のため)

で、私の場合?

はい。お察しの通りです。ダメでした。

残念ながら、私がアトピーに連戦連敗した理由もここにありました。

本気でアトピーを治したいなら、自らアトピーと向き合わなくては・・・。
結局、アトピーとの戦いは自分との戦いだったのです。

くどいようですが、アトピーはとことん自分で治す病気です。

そういう意味では、事前に「己を知る」ことが大事。

そこで「己を知る」と言う意味で、私なりに目安を作ってみました。

                 アトピーのランク