道のり2 リバウンド

何がリバウンドで何が症状の悪化なのか?あの頃は全く区別が付かなかった。

脱ステロイド療法が始まった。

身体に溜まったステロイドの毒を一機に抜き、漢方薬と健康食品で治癒力の回復を目指す。一見、理に適ったように思える療法ではある。

ところが保険の効かない漢方薬や自然食品は全て高額で、回復までの期間が長引くほど患者の負担が増えるシステムになっていた。

2種類の漢方薬と6種類の健康食品。

いくらアトピーを治したい一心とは言え、その費用は家計を圧迫した。こうなるとアトピーは本人だけでの問題ではなく、家族まで巻き込むことになる。

実は、漢方薬もこの時が最初ではなかった。

それに「アトピーに効く!」と言われるモノは手当たり次第買い漁った。やらなかったのは自分のオシッコを飲む「尿療法」くらいのものだ。

あまり思い出したくはないが、怪しい宗教にも首を突っ込んだ。

当時の私は、それくらい追い詰められていた。

3週間後、嫌な臭いのするベタベタの体液が身体じゅうから流れ出した。

不安になった私はカウンセラーを訪ねてみた。

すると、カウンセラーは言った。

「思った以上に毒素が多い」
「でも、これが好転反応です」

彼によると、このベタベタした体液こそ「ステロイドの悪い毒」が出ている証拠だった。

「これからが本番!」
「一緒に頑張りましょう!」

彼の態度は「予定通り」と言った感じだった。が、私はこの言葉を聞いてギョッとした。

「これからが本番?」
「まだこれ以上耐えるのか?」

が、もうスタートは切っている。今更引き返すことはできない。そんな私の不安には触れないように、彼はさりげなく追加の健康食品を勧めることを忘れなかった。

それから1週間後。

案の定、私のアトピーは劇的に悪化した。

皮膚はズルズル。今までアトピーが出ていなかった所まで炎症が爆発。全身火傷のように赤く腫上ってしまった。

この日以来、私は殆ど眠れなくなった。もう仕事などできる状況ではない。上司に連絡を入れ、長期欠勤の手続きを済ませた。

事態が急変したのは、その日の夜。

夕食後、40度近い高熱が出た。顔全体が赤い斑点で覆われ、全身から体液が流れ出し関節が曲がらなくなった。

翌朝、変わり果てた私の姿を見た妻が、パニック状態でカウンセラーに連絡を取った。

「大変なんです!」
「熱が40度近くあるんです!」

私の身体は衰弱しきっていた。

「好転反応です!」
「もう少しの我慢です!」
「ステロイドが出尽くせば治る!」

カウンセラーの返答は相変わらず「好転反応」の一点張りだった。

あり得ない・・・

いくら素人でも、この状態が「好転反応」でないことくらいは判る。

カウンセラーの態度が急変したのはその直後。

「もう少しで治るのに!」
「一緒に頑張ってきたのに!」
「でも治す気がないなら仕方ない!」

今までの態度が急変。激励は罵声に変わり、最後は吐き捨てるような口調だった。

この言葉を聞いた瞬間、私は夢から醒めた。

「治す気がない?」
「一緒に頑張ってきた?」
「あんたが何を頑張ったのだ?」

私はようやく、自分がネギを背負ったカモであることを自覚した。

道のり3 合併症