秘話3 合併症

克服秘話

アトピーでは死なない?

大変なのはそれからだった。

総合病院の皮膚科に駆け込むと、医師は戸惑いながらこう言った。

「ココ、皮膚科ですよ・・・」

彼の言い分はこうだ。

「外傷なら外科へ」

私の両目は大きく腫上がり、まるでKO負けした直後のボクサーだった。

妻が経緯を説明すると、医者は内科に連絡した。

「内科?」

私達は、もう訳が分からず混乱した。

「感染症の疑いがあります」

検査を受けた結果、掻き壊した傷口から黄色ブドウ球菌が侵入。敗血症をおこしていた。

結局、抗生物質の点滴後、問答無用の緊急入院。

数日後、

小康状態に入ると、医者は丁寧に説明してくれた。

「心臓は大丈夫でした」

「心臓?」

心臓がアトピーと何の関係があるのだ?

「アトピー自体は死に至る病気ではありません」
「が、合併症では死に至るケースもあります」
「細菌が心臓の弁で増殖すれば厄介でした」

好転反応どころの話ではない。

「ところで、どうしてここまで放っておいたの?」

私は返答に窮した。

放っておいた訳ではない。それどころか私は必至で脱ステロイド療法、つまり「治療」に専念していたのだ。

1週間後。

顔の腫れは消えた。と同時に栄転の話も消えた。

「またか・・・」

今までだってそうだ。

アトピーはいつも大切な時にやって来て、何もかも台無しにする。

手を伸ばせば届きそうな願いや幸福。そんなチャンスが消えてしまう経験に私はもう慣れていた。

秘話4 やっぱ薬だな

飛鳥プロデュース