道のり22 自宅での療養

ひと月ぶりの自宅。当然、何もかも入院前と同じだった。が、私自身は変わっていた。

「何が変わったのか?」

それを簡単に説明するのは難しいが、今までとは周りの世界が違って見えた。

「これだけは人任せにできない」

アトピーの場合、一度良くなった症状が社会復帰後に悪化、間もなく再入院となるケースが多いことを、入院中に嫌と言うほど見てきた。

会社に復帰後、再入院で周囲に迷惑を掛けることだけは避けたい。

もう栄転の話は消えている。今更ジタバタすることはない。

自宅での療養が始まった。

療養と言っても、横になって安静にしていた訳ではない。全く逆。とにかく歩いた。後は事前に決めたスケジュールを淡々とこなすだけ。

特別なことは何もしなかった。

いや、特別なコトやお金の掛かるコトほどアトピーを治せない現実は、今までの体験で証明済みだった。

ステロイドも抗ヒスタミン剤も一切使わず、高雄病院で処方された漢方薬さえ飲まなかった。

それはアトピーを治すための治療というよりは、健康を取り戻すための試みに近かった。

「快食」「快便」「快眠」

コレを得るためには、具体的に何をすればよいのか?

ひとつひとつを、毎日の生活の中に落とし込んでみた。

何を、どれだけ、どんな風に食べれば便通は整うのか?

試行錯誤は続いた。

誰かのアドバイスに従う訳でもなく、どこかの本に書いてあることを参考にする訳でもない。

自分の身体と直接向き合う。

そして、やったことに対する結果を注意深く観察する。全てが試みなのだ。「良い」とか「悪い」とか、そんなことは考えない。毎日毎日、ただやるべきことを淡々とやる。これだけに終始した。

すると、それまで一般的に常識だと思われている健康法の多くが、必ずしもそうではない現実に直面した。

例えば食事。

一般的な健康法からすると、食事は1日3食、規則正しく食べることが良いとされる。

しかし、自宅での療養中、私の身体は違う答えを出した。

その答えはこうだ。

食事は本来、規則正しく3回食べるようなものではない。「お腹減った!」と空腹を感じてから食べるのが自然なのだ。だからお腹が減ってもいないのに、規則に合わせて食べる必要はない。

要は、食事なんてものはライフスタイルによって、一人ひとり違って当然なのだ。

便通にしてもそうだ。

一般的には「便秘解消の食材」みたいな言い方をされることが多いが、私の経験からすれば、便通は食べ物の「内容」以上に「量」が影響する。

その証拠に同じものを食べても、その「量」によって固くてコロコロした便になることもあれば、鳥の糞のようにベタベタした便になることもあった。

爽快感を伴う太くて長い1本の便、これをスポーン!と出すにはどうすればいいのか?

最終的に、私の努力目標はこの一点に絞られた。

理由は単純。

このような便が出ることで、皮膚の炎症がどんどん消えることが分かったからだ。

当然、皮膚の炎症が消えれば同時に痒みも消える。

とてもシンプルな流れだった。